ダークで微細な線画、圧倒的な背景の描き込みがトレードマークの絵本作家、エドワード・ゴーリーの絵本です。 「もう何年も本の中で子供たちを殺してきた」と自ら言うゴーリー。彼の絵本は、ブラックジョーク、残酷、悪趣味といった言葉では簡単に片付けることができません。中でも私のお気に入りは、「The Gashlycrumb Tinies by Edward Gorey(洋書)」と「おぞましい二人」の2つ。どちらも大人向けの絵本です。 「The Gashlycrumb Tinies by Edward Gorey」はアルファベット・ブックの形式をとった作品。アルファベット・ブックとは、アルファベット26文字を頭文字とする26の単語で構成された本のことで、日本で言ういろはかるたのようなものです。この本では、A~Zまでの26文字を名前の頭文字とする26人の子どもたちが、それぞれ違った理由で死んだり殺されたりする場面を描いています(どうしてそんな……)。 そして「おぞましい二人」。刊行時アメリカで多くの読者の反感を買った、ゴーリー最大の問題作です。こちらは1965年にイギリスで実際に起きた、男女2人が4年にわたって5人の子供を残虐に殺害して荒野(ムーア)に埋めていた「ムーアズ殺人事件」を題材にしています。最初の一人目の子供を殺した二人は、翌日の朝食にコーンフレークと糖蜜、カブのサンドイッチ、合成グレープソーダをとります。このメニューはゴーリーの想像であり、何度も何度も考えたそうです。ゴーリーはこの残酷な事件にとても動揺し、頭から離れず、この事件の資料を読み漁りました。ゴーリーは残酷な人間というより、むしろそういった残酷なものをとても怖がっていたのでしょう。その恐怖ゆえ、自分から残酷なものに近づいていってしまう、ということになるのでしょうか。人間の心理ってとても複雑で不思議です。 この2冊意外にも、主人公の女の子がただただ不幸になっていくだけの「不幸な子供」、「悪いことをして罰があたった子どもたちの話」(タイトルからしてすごいです)など、面白い作品をたくさん描いています。
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