アラン・ロブ=グリエはヌーヴォー・ロマンの旗手にして、映画監督をも務めた人物です。
ヌーヴォー・ロマンとは戦後フランスに林立した実験的な小説のこと。プロットの整合性や心理描写など、従来の小説で第一に置かれていたものを脱落させることもあり、一見すると不可解で客観的です。作家の世界観を押し付けるのではなく、読者に構築させる点が特徴です。ロブ=グリエは「嫉妬」において、妻の姦通を覗き見する夫を直接描写せず、空無としてメタ的に表現しました。
彼の作風は映画作品にも発揮されています。「去年マリエンバート」での脚本を筆頭に、ロブ=グリエは映画監督も手掛けるようになります。「不滅の女」では時系列が、「エデン、その後」ではさらに空間までもが脈絡なく移り変わり、難解な印象を残します。一つ一つのシーンは非常に美しくも、それらに一切の予想ができないあっけなさは映画体験の極北を行くようです。

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